集団遺伝学的解析によるQol耐性チヤ輪斑病菌の分布拡大経路の推定

摘要

チヤ輪斑病は糸状菌の一種のPestalotiopsislongisetaによって引き起こされるチヤの重要病害である。おもに機 械による新芽の摘採によって葉に生じた傷口から発病 し，同心円状の輪紋を有する円形-V字型の大型え死 病斑を生じる。輪斑病の防除薬剤として，かっては治療 効果があり有効な防除期間が長いべンゾィミダゾール系 (MBC)剤が広く使用されていたが，薬剤耐性の発達に よって1980年代半ばには防除効果が失われてしまった (尾松ら,2012 ；外側，2015)。1998年にQol剤のァゾ キシストロビンが登録されると，MBC剤に代わる治療 剤として広く普及したが（外側，2015) ， Qol剤でも 2008年に鹿児島県で耐性菌の出現が確認された（富濱， 2009)。その後の調査で，耐性菌は静岡県でもすでに広 く分布していることが明らかとなった（外側，2015)。