温州萎縮病の周年検定について

摘要

温州萎縮病は，温州萎縮ウィルス(Satsuma dwarf virus ： SDV)によって引き起こされる病害である。接木 や土壌を介してカンキッに感染し，果実品質や収量を低 下させるゥィルス病であるために感染後の治療手段がな く，生産現場では問題となっている。ゥンシユウミカン に感染すると最も病徴が激しく表れて舟型葉やさじ型葉 とよばれる葉の奇形を生ずる。カンキッの種類によって は感染しても外観上は奇形などの症状が現れないため， 感染に気づかないことがある。健全な苗木生産を行うた めにはウィルス検定を定期的に実施し，無毒な母樹から穂木を確保することが重要となる。このため，カンキッ 生産地では大量検定可能な酵素結合抗体法（ELISA法） によるウィルス検定が実施され，無毒の苗木や穂木の確 保に努めている。