ゥリ類退緑黄化ゥィルの感染拡大と遺伝子診断法

摘要

ゥリ類退緑黄化ウィルス（Cucurbit chlorotic yellows virus, CCYV)は，2004年に熊本県のメロンで発生が確 認されて以降，05年にはキユウリにも感染が認められ， 07年までに九州全域に広がつた。2008年には愛媛県， 埼玉県，群馬県および栃木県のキユウリで相次いで癸生が報告された。本ウィルスは，クロステロウィルス科ク リニウィルス属に分類され，タバココナジラミが媒介す ることが明らかにされた（行徳ら，2009)。感染したキ ユウリの症状は，初めは中位葉に退緑斑紋を生じ（口絵 ),しだいに葉脈を残して葉全体が黄化する（口絵②)。 このころには葉にしなやかさがなくなつてごわつくよう になり，最終的には葉が外側に卷く （口絵③)。関東で は，1977年に同属に分類されるウィルスでオンシッコ ナジラミが媒介するビ一トシユードイエロ一スウィルス (Beetpseudoyellows virus, BPYV,別名キユウリ黄化ゥ ィルスCucumber yellows virus, CuYV)力ミャユウリおよ びメロンで発生し，急速に拡大した（吉野ら，1979)。 このウィルス病は，その後は年ごとに減少し，また，原 因が究明されて防除対策がある程度確立されたこともあ り，1980年以降は低発生にとどまつたようである。こ のウィルス病は，福島県や愛媛県でも同時期に相次いで 発生が確認されている（善林ら，1894)。キユウリにお ける主要なウィルス病の一つであるメロン黄化えそウイ ルス{Melonyelloiv spot virus, UYSV)による黄化えそ病 の発生が，埼玉県では2005年に初めて報告され，現在 でも被害をもたらしている。