ヤマノイモの種芋消毒方法が青かび病の発生および生育、収量に及ぼす影響

摘要

ヤマノイモ青かび病は芋表面から内部にかけて褐色に腐敗し(口絵①),表面や傷部に緑色の分生子を生じる病害である。芋表面の腐敗は日立たないが,食用や種芋切片として切断するときに内部の腐敗に気づくことが多い。本病に感染あるいは発病した種芋切片を植え付けると,土壌中で腐敗が進行し,萌芽が遅れて初期生育が悪くなり,ひどい場合は萌芽しなくなる。収穫時の発病は目立たないが,芋を掘り上げると芋の表面や根の周辺土壌に1mm程度の緑色の分生子塊が観察される。ひからびた種芋切片が残っている場合,その表面にも分生子塊が密集することがある。病原菌はPenicillium scleroti-genumとPenicillium sp.が知られているが,本研究では兵庫県内の現地で発生したPenicillium sp.による病害を対象とした。本病は土壌や空気中に生息する分生子が芋表面の傷から感染して,主に15-25°Cで進展、発病する。