ケンタッキーブルーグラスに発生したネクロティツクリングスポット病

摘要

2002年および2003年の夏～初秋，北海道内のゴルフ場のケンタッキーブルーグラス（Poa pratensis）の芝地に円形パッチあるいはリング状の枯死症状が発生した（図1）。 2002年は7月上旬から症状が発生し，8月中旬に最も激しくなり9月下旬から回復に向かった。2003年は7月下旬から症状が発生し，8月中旬に最も激しくなり9月中旬から回復に向かった。症状が激しくなるのは平均気温が約18～20°Cの時期であった。 パッチやリングの大きさは直径約20～40cmであったが，融合して大型になったものや不整形のものもあった（図2）。 色は茶褐色や黄褐色を呈していた。 発生初期には植物体は萎凋症状を呈するが，日数が経過すると茶褐色や灰白色に変色し，やがて枯死する特徴があった。また，根が黒く変色し，側板や根毛の数が少なくなる特徴があった（図3）。 降雨が少ない期間に症状が激しくなったが，数日間の降雨や散水により症状が軽減することがあった。 なお，Rhizoctonia属菌やPythium属菌による病害のように，葉が腐敗する特徴や1つのパッチの大きさが日数の経過とともに徐々に大きくなる特徴はなかった。