2012年伊万里湾で発生した有害渦鞭毛藻Karenia mikimotoi赤潮の環境特性と養殖トラフグの大量斃死

摘要

無殻渦鞭毛藻Karenia mikimotoi (Miyake & Kominami ex Oda) U. Hansen & 0. Moestrupによる赤 潮は1965年に長崎県大村湾で発生し，魚介類の斃死による 約7億円の漁業被害を出した（塩川、入江1966，飯塚-入 江1972)。 /：.肌'おmofoZ赤潮は，その後も西日本沿岸海域 を中心に多発しており，2012年には豊後水道などの西日本各 地で赤潮を形成して13億円を超える漁業被害をもたらすな ど，魚介類に甚大な斃死被害を及ぼすことから水産振興上の 大きな障害となっている。（水産庁九州漁業調整事務所1982 -2015,独立行政法人水産総合研究センタ一、瀬戸内海区 水産研究所1999-2015,水産庁瀬戸内海漁業調整事務所 2000)。 K. mikimotoiの赤潮は広域に出現する傾向が見られ(例えば小泉ら1994，宮村ら2005), 2012年夏季には伊万 里湾にも出現し，YラフゲはaMfugu rubripes)等養殖魚 類に約9,200万円（佐賀県；約6,000万円，長崎県；3,187 万円）の漁業被害を及ばした（長崎県総合水産試験場2013， 西山ら2013)。この赤潮のうち，佐賀県海域における発生状 況は西山ら（2013)に詳述されている。本研究では，2012 年に発生した伊万里湾海域におけるK. w/h>woto!'赤潮発生 状況と環境特性を調べ，赤潮水塊の移動や養殖トラフグの斃 死に及ぼすK. mikimotoi遊泳細胞密度の影響に関する知見 を得たので報告する。