秋田県由利地域振興局管内の湛水直播水田における タイヌビエおよびィヌビエの葉齢進展

摘要

由利本荘市とにかほ市からなる秋田県由利地域振興局管内では，同振興局とJA秋田しhせいの取り組みにより水稲直 播栽培の面積が拡大傾向にあり（渡部2012),管内では20に 年には秋田県の水稲直播栽培面積1,245 haの約20%に相当 する244 haで直播栽培が実施され，その85 %を湛水直播栽 培が占めた。同管内の水稲直播栽培面積が2006年の27 ha から2012年には約8.7倍に拡大する中で，ィネ(Oryzasaliva L.)の苗立ち数の確保と効果的な雑草防除は常に技術的な 課題であった。この管内の湛水直播水田では，コナギ {Monochoria vaginalisし.Pres.ノゃ刁モ夕力(Sagittaria trifoliaL.) などの広葉雑草も問題となる力《,ヒェ属、Echinochha)の タイヌヒェ(E. oryzicola Vasing.)とィヌヒ工(E. crus-galu P. Beauv. var. crus-galli)が主要な雑草である（森田2008)。湛 水直播水田においては，好気的条件下でィネの出芽を促進す る目的で実施される落水出芽期間終了後の再湛水時の一発処理型除草剤の処理が主要な雑草防除手段である。一発処理型 除草剤の制御可能な雑草ヒェの葉齢の限界は，圃場での最大 葉齢として1.5から3.0の範囲で剤ごとに示される力5.—発 処理型除草剤の処理時に雑草ヒェの葉齢が限界を超える，す なわち一発処理型除草剤の処理の遅れが.由利地域振興局管 内の湛水直播水田での雑草ヒェの残存に関与すると考えられる（森田ら2009)。この問題点の解決のためには.現場での 実態に基づいた雑草ヒェの葉齢の推定方法力5'必要となる。そ こで，由利地域振興局管内の湛水直播水田でのタイヌビエと ィヌビエの最大葉齢を調べ.調査水田に最も近いアメダス (地域気象観測システム）の地点での気温を用いて.加重型 有効気温，単純有効気温およぴ日平均気温の積算値と最大葉 齢との回帰式を求めた。