自然植生保全地域における緑化植物の生態系影響と管理

摘要

「雑草」が何を指すかは，いろいろと議論があるところではある力？ (e.g. Booth e/a/. 2003),これまでは主に農業生産を 阻害する草本（例植木、松中1972,雑草学辞典2010) を「雑草」と呼hでいた。しカゝしな力{ら，近年多くの人々が 生物多様性の保全に関心を持つようになり，在来種からなる 植物群落に侵入する外来植物に環境雑草という名称が与えら れ.管理が必要な植物と見なされるようになった（e.g. Myers andBazely 2003)o 2005年に外来生物法が施行されて以来，日 本でも固有の生態系に影響を及ぼす外来植物は防除すべきと V 、う認識が高まってきたが.これまで日本の雑草学では主に耕地雑草を研究の対象としてきたため環境中に広く生育する 植物の防除、管理についての知見は少なかった。このような 中.自然植生の保全が重要視される国立公園を対象に.往々 にして人問の管理から逸出する緑化植物について，その逸出 パターン等を調べ.どのように管理すればよいかを明らかにするプロジェク卜が2008年に5年間の予定で始まった。本 稿ではこれまでに得られた成果を紹介し.自然植生保全地域 における緑化植物の生態系影響とその管理について考察する。