第3回国際カジキシンポジウム報告－米国スポーツフィッシング団体の実態－

摘要

本シンポジウムは、米国のカジキ財団（The Billfish Foundation: TBF）というスポーツフィッシングの利益を保護する団体が主催し、10年に一度世界のカジキ研究者及びスポーツフィッシング関係者を対象にして開催される大規模な研究集会である。 過去2回のシンポジクムはいずれもかじき類研究の発展に大きく寄与しており、そこで発表された研究結果は現在でも盛hに引用されている。 日本でも近年遊漁が盛hになったが、TBFの場合は日本の遊漁者とは異なり、自前の豪華なボートでカジキ釣りを楽しむ資産家を中心に構成されており、そうしたメンバーから寄せられる多大な寄付金を背景に強力な圧力団体となっている。TBFは、会員が娯楽として漁獲するカジキの数を確保するために、かじき類の商業漁獲廃絶を目指しており、米国海洋漁業省（NMSF）の行政官や研究者にも強い影響力を有している。 会議主催者の性格上、会議全体のトーンはかじき類の保護に関する事柄で占められるが、日本のような漁業国の研究者の研究発表も受け入れる。 そのため、前回1卿年にハワイで行われたシンポジウムでは、漁業資源としてカジキの有効利用を訴える漁業国サイドと、漁業による資源の悪化はいささかも許さないとするスポーツフィッシングサイドの全面対決の様相を呈した経緯がある。