科学技術庁長期在外研究を終えて

摘要

科学技術庁長期在外研究員として，オーストラリアの豪州南極局（Australian Antarctic Division，以下AAD）に1997年11月から一年間滞在し研究を行う機会を得た。 この間，多くの貴重な体験をした。 本紙面をお借りして渡航先研究所の概略や研究者の生活ぶり等を簡単に紹介する。 AADは1948年にこトーストラリアの南極政策の拠点としてビクトリア州都メルボルンに連邦政府の外務省機関として設立され，1981年に本部はタスマニア島の州都ホバート近くのキングストンに移され，環境領土省の研究機関として現在に至る。 設立当初は南極領土権に絡hだ外交政策の南極観測隊の支援拠点として位置づけられていたが，最近の政府レビューによるとその役割は「1．地球規模の気候変動の解明，2．南極（海洋生態系を含む）の環境保護，3．南極関連重要情報收集，4．南極条約ならびにその中でオーストラリアの影響力の維持」とされている。