クロユリのin vitro培養による増殖に関する研究．（第1報）母球からの出葉，着葉，開花および形成された新球などの特徴と小球状りh片からの子球形成

摘要

クロユリ（Fritillaria camtschatcensis Ker-Gawl．）球根を栽培して，出芽，着葉，開花および形成された新球などの形態的特徴を調査するとともに，その増殖を目的として球根に多数者生している小球状りh片を用いて，in vitro培養による子球形成に及ぼす温度，光および植物ホルモンなどの影響を検討した．1．球根を1995年11月上旬にポットに植え付け，ガラス室で栽培した結果，葉は5～6枚輪生し，花は1本の茎から1～2個で斜め下向きに咲いた．花蓋は広鐘形で平開しなかった．1996年7月下旬に球根を圃場から掘り上げ，その状態を調査した結果，母球とそれに付着していた小球状りh片の大部分は腐敗していた．しかし2個の新球（約5g，生体重）と子球を形成している6－7個の小球状りh片が残存していた．2．小球状りh片に子球を形成させるためin vitro培養した結果，暗条件下で20°Cが良い条件であった．3．小球状りh片の子球形成率を高めるためin vitro培養した結果，NAA 0．1mg centry to liter~(-1)と　 EB 0．1mg centry to liter~(-1)との併用が良好な条件であった．