チャの育種レベルの飛躍的向上を目指したDNAマーカー等による早期選抜と世代促進を組合せた育種システム--野菜茶業研究所枕崎茶業研究拠点におけるとりくみ

摘要

この百年ほどの間に世界の主要作物では軒並み劇的な収量増を実現し（Khush 2001，USDA http：//www.nass.usda.gov/Data_and_Statistics/Quick_Stats/），人口が増加し続ける世界の食糧を支えてきた．その間，草型や肥料に対する反応等，主要作物は形態的，生理的に劇的に改変された．百年前の品種では今日の地球の人口は到底支えきれないことは自明であり，育種が二十世紀の主要作物の劇的な収量増の主要な立て役者であることは議論の余地がないであろう．一方，木本性作物においても精力的な育種が実施され，多くの品種が育成されてきた．しかし，主要作物の生理、形態的特性が育種によって一変されたことに比べると，木本性作物はまだ大きな改変をほとhど受けていない状態にも見える．著者はチャ育種に関わり，その間，木本性作物のチャにおいて，主要作物並とまではいかずともそれに近い育種成果を上げるにはどうすべきか，という命題に対峠してきた．その中で，『世代促進』とDNAマーカーをはじめとする『早期選抜』がキーワードであると考えるようになった．そして，『世代促進』と『早期選抜』を組み合せることにより木本性作物の育種を大きく前進させることができるという手応えを感じるに至った．