アポスポリ一性特異的遺伝子の機能解析-hsp::ASG-l::GFP遺伝子導入による組換えィネの作出とその解析-

摘要

アポミクシスは母親の遺伝子型だけが子の世 代に伝わる生殖様式である。この形質を実用 すれば、一代雑種の固定や、育種年限の短縮、 さらに栄養繁殖植物の種子繁殖への転換が可 能となるなど、「緑の革命」以上の経済効果が 見込まれている。本研究室ではイネ科暖地型 牧草ギニァグラスから単離したアポミクシス性特異的遺伝子ASG-1 (Chen et al., 1999)の 機能解析を進めている。これまでに演者ら は、モデル植物であるシロイヌナズナに Floral dip法でヒートショックプロモーター 下でシロイヌナズナヒストンH2BとsGFP の融合たhぱく質発現ュニットにASG-1を 再構築し、シロイヌナズナにhsp::ASG-l::GFP 遺伝子導入を行つた。得られた組換え植物の T1-T3各世代において、各部位でGFPの発 現が確認されている（育研別2. 2012、育研 別1.2013)。さらに透明化法による組換え シロイヌナズナの胚嚢観察を行い，いくつかの興味深い事例を報告した（育研別1. 2014)oしかし、ASG-1遺伝子が単離された ギニァグラスへの遺伝子導入は困難である。一方、前報（育研別2. 2016)では、同じィ ネ科のイネ「日本晴」を用いたASG-1遺伝子 組換えイネの作出を報告した。本研究では、 シロイヌナズナにhsp::ASG-l::GFP遺伝子導 入を行ったシステムを用いて、組換えイネの 作出とその機能解析を行った。