分割された葉緑体ゲノムを持つ葉緑体形質転換タバコの特徴づけと転写.翻訳物の解析

摘要

我々は以前、葉緑体内で活性酸素種消去系を構成する酵素の1つ、ァスコルビン酸ペルォキシダーゼの遺伝子、apx) をタバコの葉緑体ゲノムへ導入する実験を行い、独立した3系統の組換え体を得た。その うち2系統では、細かいまだら模様の斑入り が観察され、この斑入りが安定して後代へ伝 わることが示された。次世代シークェンサ一 による解析では、斑入り系統の葉緑体には、 IR領域とLSC領域の一部が欠失した大きな 環状分子（ラージサークル=140kb)と、その 欠失部分によつて形成される小さな環状分子 (ミニサークル=22kb)が存在することが明ら かとなつた。その後の解析で、このミニサ一 クルは導入配列の一部と葉緑体のネイティブ 配列間の相同組換えによって生じたものと推 察された。また、ラージサークルとミニサ一 クルのコピー数を比較したところ、ミニサ一 クルのコピー数が10倍以上多いことも分 かった。