ユリの花被片特異的な発現を促すシスエレメントの解析

摘要

花色の決定には複数の因子が関わるが、アントシァニンによる場合には、アント シァニン色素の蓄積、助色素との高次構造形 成に加えて、アントシァニンと金属イオンの 錯体形成が重要な役割を果たす。青色の花被をもつ品種が存在しないユリ属(Lilium)にお いても、チューリップ(Julipa gesneriana)の知 見（Momonoi et al" 2009)をもとに、チュー リップ液胞型鉄イオントランスポーター (VIT)遺伝子を花被細胞で一過的に発現させ ると、単独では青とならないアントシァニン (シァ二ジン3-ルチノシド）が液胞内で鉄ィォ ンと錯体を形成し、細胞が青色化することが 観察された。従って、花被片特異的に強い発 現を促すプロモーターを開発し、これによつ てVITを発現させれば、"青花"ユリ品種を 開発できる可能性が高い。そこで我々は、花 被片特異的発現を示すユリのR2R3MYB転 写因子の/^M7Sに着目し、LhMYBプロモー ターに存在する花被片での遺伝子発現に関わ るシスエレメントの解析を行った。