炭酸塩耐性野生植物Puccinellia tenuifloraと炭酸塩感受性植物Poa annuaの炭酸塩処理条件下における代謝物の網羅的解析

摘要

植物の成長や生産性を阻害する環境問題のひ とつに塩類集積が挙げられる。塩類集積と は、地中の塩が水分の蒸発とともに地表まで 運ばれて、地表に蓄積することで引き起こさ れる現象である。中国東北部黒竜江省の乾燥 地域では、地質、高い地下水位、および過放 牧が原因となり塩類集積がき1き起こされてい る。この地域における塩類集積の特徴は、炭 酸塩、炭酸水素塩が集積することである。炭 酸塩'炭酸水素塩は、イオンバランスを乱すことによるストレスに加えて、土中のpHを 高くすることにより高pHストレスを植物に 与えることが知られている。本研究では、炭 酸塩類集積土壌に生息する野生植物 Puccinellia tenuiflora (P. tenuiflorajの灰酸塩 耐性機構の解明を目的として、尸.tenuiflora と、近縁な炭酸塩感受性植物であるPoa annua (P. annua)の代謝物の種類と各代謝物 の量を網羅的に解析した。メタボローム解析 の結果を両種間で比較することで、耐性植物 と感受性植物における炭酸塩ストレス応答の 差異を調べた。