アポミクシス性特異的遺伝子の機能解析一組換えシロイヌナズナでのASG-1遺伝子の 時空的な発現

摘要

アポミクシスは、母親の遺伝子型だけが子ど もの世代に伝わる生殖様式である。この性質 を植物に利用できれば、一代雑種の固定によ る種子生産のコストダウン、育種途中の中間 母本の固定による育種年限の大幅の短縮、さ らに栄養繁殖植物の種子繁殖植物への転換が 可能になるなど、画期的な育種法として経済 効果が「緑の革命」以上と期待されている。 著者らは、これまでにイネ科暖地型牧草であ る条件的ァポミクシス性ギニァグラスと有性 生殖系統を細胞学的に比較、解析した結果、 両方とも大胞子が形成されたが、アポミクシ ス系統では、大胞子が崩壊してその周りにあ る珠心細胞が発達し、アポスポリ一性胚嚢始原生殖細胞(AIC)となったことを突き止めた。 そこでDifferential screening法を用いてAIC 出現時期に特異的に発現する遺伝子のクロー ニングに成功し、ASG-1と命名した。アポミ クシス性特異的遺伝子ASG-1の機能解析を 行うため、これまでにシロイヌナズナに ASG-1遺伝子導入して組換え体を作出して きた(育研13:2; 14:1,2; 15:1,2; 16:1,2)。その 表現型として、多胚嚢形成ゃ多胚形成といつ たアポミクシス現象が観察.確認された。