テンサイOwen型細胞質雄性不稔の稔性回復葯RNA-seqによる代謝変動比較解析

摘要

細胞質雄性不稔性（Cytoplasmic Male Sterility; CMS)はミトコンドリアゲノムに コードされる原因遺伝子(S-orf)の作用により 花粉稔性のみが失われる母性遺伝形質であ り、CMS系統を種子親として用いることで除 雄の必要無く高純度の雑種種子が生産できる ため一代雑種育種形質として用いられてい る。S-orfの作用は核にコードされる稔性回 復遺伝子(Restorer offertility; Rf)力の作用により 打ち消され花粉稔性が回復するが、これらの Rfの多くはS-oゲの翻訳産物を減少させるも しくは不活性化させるタンパク質をコードし ていることが知られている。それゆえ、稔性 回復遺伝子をもつCMS系統は表現型レベル では正常系統と同様である。一方で、稔性回 復遺伝子は遺伝子の違いやアレルの違いによ り作用力が異なる例が知られており、S-orf翻 訳産物の蓄積量の違いとして報告されている がそれが生殖組織内でいかなる生理的な差異 をもたらしているかはよくわかっていない。