文献にみる補償の精神【65】「ないから高いhだよ、君達はその土地を開いてくれるから協力するhだよ」（牧尾ダムと愛知用水、長野県、岐単県。愛知県）

摘要

人の生活に欠かせないものを3つ挙げるとすれば、食糧とエネルギーと水であろう。ご飯を炊くにしても、そのために火力というエネルギーと水は欠かせない。世界の国々では、′これらの資源の安定供給のために日々努力を重ねている。また、米を主とする食糧の生産には、土地と太陽エネルギーと水の3要素は絶対必要であるが、その中でも水の確保は一番難問ではなかろうか。　明治政府は、ヨーロッパ列強に対し、日本の主権を維持するために、「富国強兵」、「殖産興業」の政策を進めた。農業においては、士族授産、輸出振興策に伴い、養蚕、製茶などの農産物の奨励を図った。北海道開拓をはじめ、那須野ヶ原、安榎原野、碧海原野などを開墾したが、どの地域でも「水さえあれば」、「水さえ引ければ」との願いは強く、水を求めた先人たちの苦難が起る。殖産興業の一環として、明治の三大用水事業といわれる那須疏水、安積疏水、明治用水が開削されている。このうちの明治用水をみてみたい。