喫煙者における抗酸化ビタミン補足と脂質の過酸化

摘要

喫煙は，生体内の脂質の過酸化を促進させ，体内で抗酸化ビタミン，特にビタミンCやβ－カロテンを消耗することが報告されている。アメリカで行われたこの研究は，健康でしかも心血管疾患等の既往歴のない喫煙者において，抗酸化ビタミンを添加したトマトジュースが，脂質の過酸化を低下させることができるかどうかを調べたものである。 対象は，喫煙習慣のある（1日4本以上）男女39人であり，ランダムにコントロール群（19人），テスト群（テスト20人）に割り付けた。 両群対象者のベースライン特性（血柴総コレステロール濃度，喫煙歴等）には差がなかった。 両群とも最初の4週間は調整期間として，一定量のトマトジュースを飲hでもらった。 4週間彼の栄養素等摂取量は，テスト群のどタミンC摂取量が高いことを除いては，エネルギーやその他のどタミン，ミネラル等に差はなかった。 その後更に，テスト群にはビタミンC600喝，ビタミンE400IU，β－カロテン30喝を添加したトマトジュースを4週間飲hでもらい，コントロール群には続けて無添加のトマトジュースを飲hでもらった。 両群とも血華中の各ビタミン濃度及びリコピン濃度は，実験開始時，4週間，8週間目に測定された。 テスト群では，実験終了時には血梁ビタミンE濃度は，調整期間終了時の1．7倍に増加した。 また，β－カロテン濃度は調整期間終了時の3～4倍に増加し，コントロール群と比べ有意に増加していた。 一方，血祭リコピン濃度は，両群とも調整期間中に有意な増加を認めたが，その後4週間のトマトジュース飲用により更なる増加は認められなかった（表1）。