脂肪蓄積部位の違いが肥育牛のアディポジエネシスに及ぼす影響

摘要

脂肪組織の成長は、脂肪前駆細胞が増殖及び分化 する過程と、脂肪細胞が終末分化し細胞内に脂肪滴 を蓄積して肥大化する過程とに大別される。これら 一連の過程はアディポジエネシスと総称される。ヒ トゃ実験動物を用いた研究の結果から、核内転写因子であるCCAAT/ェンハンサー結合タンパク質（C /EBP)ファミリーが、脂肪細胞の分化促進を制御 するマスタ一レギユレ一ターとして機能しているこ とへまた脂肪組織の成長には血管新生が必須であ り、脂肪細胞自身が血管新生因子を分泌することに よつて脂肪組織内の血管新生を誘導していることが 判明した。我々はこれまで、肥育期間や品種差、 給与飼料の違いは、肥育牛の脂肪細胞におけるC/ EBPフアミリー発現に影響を及ぼすこと、ゥ シ脂肪細胞の肥大化に伴い血管新生因子の分泌が促 進されることを明らかにしてきた。