緑化とそれをとりまく問題

摘要

本誌の編集委員会で，春先に向けての特集として「黄砂」の問題が話題になり，緑化と関連づけて小特集を企画してはどうかということになった。 緑化は，黄砂のような飛砂の防止だけでなく，森林資源としても重要であり，また意図的に導入した緑化植物が生物多様性や生態系，人の健康に影響を及ぼすことも知られている。 そこで，これらの話題について，「緑化とそれをとりまく問題」として専門家に執筆いただき，とりまとめた。 　 東アジア内陸部の砂漠や黄土地帯で大気中に舞い上がった黄砂は，3月から5月にかけて偏西風に乗って日本に飛来し，黄砂現象として観測ざれる。 その原因となる砂漠そのものをなくすることは難しいが，黄土地帯を含めたその周辺の砂漠化は防止できる。 世界では，砂漠化の影響を受けている地域は約36億haに達しており，毎年6万km2，日本の陸地面積の16％に相当する面積が新たに砂漠化により荒廃しているといわれている（図参照）。