植物II: 被子植物

摘要

被子植物は，現在，地球上で最も繁栄している植物群であり，約27万種が知られている。被子植物の特徴はなh といっても花を咲かせる植物ということであり，それゆえ われわれに最も身近な植物である。被子植物の系統につい て解説していく前に，前回からの宿題である被子植物の起 源について見ていこう。被子植物は，種子植物に属する植物群であり，裸子植物 から起源した植物群である。ただし，前回「植物I」で述べ たように，現生の裸子植物とは直接の系統関係はない。被子植物では，雌の生殖器官である胚珠が2枚の構造で， さらに包み込まれているという特徴がある。最初の1枚は， 胚珠の外珠皮である。裸子植物では，胚嚢が1枚の珠皮で 包み込まれているが，被子植物では，この珠皮が2枚となつ ている。もう一つの包み込み構造が心皮であり，胚珠は心 皮によって作られた子房内に「閉じ込められ」ている。雌雄の生殖器官が1つの軸構造上に集まった花の起源とともに， このような厳重な包み込み構造がどのように進匕してきた かが被子植物の起源を考えるうえで重要な観点となる。