八重山諸島表島におけるゲンゴロ類の生息状況と保全

摘要

自然豊かな島として有名な八重山諸島の西表島には,国内で記録があるゲンゴロゥ類のうち，約1/3にあた る44種ものゲンゴロウが確認されているが，近年, 種によっては絶滅,もしくは減少傾向にある。本稿で は，西表島におけるゲンゴロゥ類の生息状況と生息を 脅かす要因，およびその保全の展望と意義について紹 介したい。国内において自然豊かな島と聞けば, 多くの方がこの西表島をあげるのでは ないだろうか？実際に，島のほとh どを占める亜熱帯林や，河口部に発達 したマングローブ林，そして島を囲む サンゴ礁は壮観であり，そこには多種 多様な生物が生息している。あまりに も有名なィリオモテャマネコをはじめ， 世界でもこの島にのみ棲hでいる動植 物はヤエヤマハナダカトンボ，シヨキ 夕テナガエビ，ヤエャマカンァオイな ど枚挙に暇がない。今回紹介する西表島のゲンゴロゥ類 は，種によっては亜熱帯林内の水域に も生息するが,その多くは壮観な大自 然とは異なる，水田やため池といった 平地の人工的な湿地★に生息する昆虫である。しかし，それは人間活動の影 響を受けやすい環境に生息することを 意味している。本稿では，西表島のゲ ンゴロゥ類の生息状況とその保全の展 望について述べるが，まずは，調査地 域である西表島と調査対象であるゲン ゴロゥ類のそれぞれの概要について紹 介したい。