光化学オキシダント生成物質である炭化水素ガスの植物による放出と吸収

摘要

われわれが生活する地表面付近の大 気中では，オゾンは化石燃料の燃焼に 伴い発生する物質の反応によって生成 される。主に自動車の排ガス由来の窒素酸化物N02と，化石燃料の燃焼全般 から放出される炭化水素ガスが，それ らに該当する。しかし，炭化水素ガス の中には，植物から放出されるイソプ レンやモノテルペンからなるテルペン 類も含まれる。イソプレンは1分子に 炭素原子を5個，水素原子を8個含む 化合物で，C5H8の分子式で表される。 異性体はなく，1種類のみである。他 方，モノテルペンはI分子に炭素原子 を10個，水素原子を16個含む化で， C10H16の分子式で表され，さまざまな 異なる化学構造をもつ100以上の異性 体からなるが,代表的なモノテルペンは森の香りの代表種であるaピネンや カンキッの香りの主成分のリモネンで あろう。また，0H基が付いたC10H18O や，ケトン基をもつC10HI6Oで表され る酸素を含む物質もモノテルペン類に 含むことが多い。タスノキの樟脳の主 成分であるカンファーは，C10H16Oで 表される含酸素モノテルペンの代表種 である。