連載、豚のバイオメカ＝ズム第7回　豚の消化器の構造と機能その1：豚の消化管と口腔の構造

摘要

豚をはじめ家畜の消化器官は消化管とその付属器官の二つに分けられます。消化管は、図1のように口から肛門まで連続した管状の器官で、摂取した飼料を消化し、吸収し、あるいは排出しますが、口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門から構成されます。小腸は十二指腸、空腸、回腸に、大腸は盲腸、結腸、直腸にそれぞれ区分されます。また、消化器官の付属器官としては口唇、舌、歯、口腔腺（唾液腺）、肝臓、胆嚢、膵臓からなります。歯は食物である飼料を機械的に噛み砕き、舌は阻噂や喋下の際に補助的に機能します。それ以外の付属器官は摂取した飼料とは直接に接することなく、消化液を分泌して化学的に飼料を分解します。豚の消化器官でも、採食した飼料を機械的消化によって阻囁、境下し、輸送するとともに、消化液による化学的消化によって飼料を低分子化し、からだの中に吸収しますが、水分、ビタミン類、無機物も一緒に体内に吸収します。また一方では、からだでつくられた老廃物や吸収されなかった消化物などを排せつします。