和牛の腹囲と胸囲は肥育成績向上の バロメーターになり得るか--腹胸差と腹胸比率の現場活用の方向性について--

摘要

黒毛和種牛の肥育における経営上目指すべき目標は、まずは肥育期間において順調な飼養管理ができて、事故なく、無事に枝肉出荷されることでしょう。その上で狙うところは、一般に、筋肉内脂肪の交雑割合の高い「霜降り肉」にできるだけ近づけて販売単価を高めること、そして、「重量のある枝肉」でト—タルの販売収益を確保することです。しかし、最近では、このようなタ—ゲットや価値観にこだわることなく、消費者二—ズゃ地域ブランドの推進方向に応じた多種多様な取り組みも全国的に増えてきているようです。そこで、肥育における経営目標を達成するための第一歩は何かということを考えてみると、やはりそれは、「目標に到達すると見込まれる肥育素牛」を的確に判断して導入することと考えられます。その判断基準は肥育経営者にとつてさまざまでしようが、子牛市場での実際の動向を注視してみますと、主に、以下の三点が市場での素牛評価の参考にされていると感じられます。