熊本県の肉用牛生産の現状と課題

摘要

熊本県は九州地方のほぼ中央に位置する、面積約七、四〇五撼の県です。北部は比較的緩やかな山地、東部から南部にかけては標高一、〇〇〇m級の山々に囲まれており、また西部は有明海、八代海に面しています。世界最大級のカルデラを持つ雄大な阿蘇や美しい大小の島々からなる天草に代表されるように、山あり海ありの変化に富hだ素晴らしい自然にあふれています。気候は概して温暖ですが、地形同様、地域によってその様和が異なります。熊本市周辺では年平均気温が一六°Cと温暖ですが、寒暖の差が大きく、夏場では気温が三五°Cを超すことも少なくはなく、冬では最低気温が氷点下まで下がることもあります。一方、九州随一の寒冷地である阿蘇地方は山地型気候で、冬場の最低気温は氷点下まで下がることが多く、寒気が流れ込むと山頂ではまれにマイナス二〇°C程度の極寒となります。反面、夏は熊本市周辺が三五°C以上の猛暑でも、二五°C以下と冷涼な地域です。また、天草、芦北地方は海洋性気候で寒暖の変動が小さく、真冬でも平均最低気温が七～八°C以上と暖かく、さらに県南の球磨地方では、人吉盆地を中心とした内陸的な気候と山地型の気候となっています。