（4）飢えおよび渇きに配慮する

摘要

これまで、アニマルウエルフェアの概念と国内外の動きを紹介してきた。 今回から5回にわたり、具体的に何に配慮するべきなのかを解説する。 第2回で紹介したようなアニマルウエルフェアの評価法をもとに、アニマルウエルフェアを阻害するさまざまな要因が特定されてきた。そして、これまでに何回か紹介した、英国アニマルウニルフェア委員会が1991年に提案した「5つの自由（解放）」が、現在までの研究成果の要約となっている。 アニマルウエルフェアとは第2回で紹介したように「動物の権利」という発想であるため、「自由とか解放」という言葉となるが、（社）畜産技術協会でのアニマルウニルフェアに関する検討において、「快適性に配慮した家畜の飼養管理」と読み替えたように、管理する側が主体の方が、われわれとしては理解しやすい。それらは、①飢えおよび渇きからの自由：新鮮な水と健康と活力を与える餌の供給、②不快からの自由：庇陰や快適な休息場を含む適切な環境の提供、③苦痛、怪我、病気からの自由：迅速な診断と処置、④正常行動を表現する自由：十分な空間、適切な施設、仲間の提供、（参恐怖と苦悩からの自由：心理的苦痛を避ける状態の提供、である（FAwc，1991）。 これらを5回にわたって、順次紹介していきたい。