最近の食肉加工技術について：野生動物肉の研究例など

摘要

現在、野生動物による農作物の食害や接触 事故などが増加の一途をたどり、農水省の統計では有害鳥獣による農業被害額は近年200 億円前後で推移している1)。そのため、個体 数の調整を含め、貴重な自然資源であるシカ やイノシシをジビエとして有効利用する試みが 全国で行われ、地方創生を目指している2)。シカ肉は牛肉や豚肉に比べ高タンパク質かつ 低カロリーで高栄養価であり、現代人に不足し ているとされる鉄分の含有量も非常に高い。し かし、シカ肉の特性については未だ不明な点 も多い。また、シカ肉は狩獵後の取り扱いの 不備等により残血による濃い肉色と臭いが問題 となりうる。そのため、加工技術の中で血絞り によるシカ肉やイノシシ肉の品質向上のために、 それらジビエと言われる肉素材を用いた食肉加 ェ品を作成し、野生動物肉の食肉利用の可 能性について、本学研究室で先ず検討した。