曰本の在来馬について4.トカラ馬

摘要

トカラ馬は、その名の示すとおりトカラ列島に 故郷をもつ島嶼型の小型の日本在来馬である。 トカラ列島は、屋久島と奄美大島に挟まれた南北約160kmの間に点在する12の島々からな り、鹿児島県鹿児島郡十島村に属している。12 の島々のうち口之島、中之島、平島、誡訪瀬島、 悪石島、小宝島および宝島の7島は有人の島で、 残りの5島、臥蛇島、小臥蛇島、小島、上ノ 根島および横当島は無人島である。気候区分でみると温帯と亜熱帯の境界に位置し、夏は台風 の常襲地域で、冬になると北西からの強い季節 風にさらされる。このような厳しい環境の中に 手つかずの自然が豊富に残されており、生物学 的には極めて興味深い地域である。また歴史的 には九州本土から南下したいわゆる大和文ィ匕と 南方から北上してきた琉球文化の交流地域であ り、それらを彷彿させる島々独特の文ィ匕を継承 してきている。