繁殖プログラムを利用した 放牧牛の省力的繁殖管理

摘要

公共牧場は、粗飼料自給率の向上や農家の 労力軽減のため、これまで重要な役割を担って きた。近年は、畜産農家の減少、市町村合併 の影響により全国の公共牧場数は減少傾向にあ る。また、公共牧場の受け入れ可能に対する利用率は、70%程度で概ね横ばいで推移しており、 放牧頭数が伸び悩hでいるのが現状である1)。このような中で、公共牧場の利用を推進する には、農家ニーズにかなった技術およびサービス の提供が重要である。公共牧場の繁殖管理に おいては、農家にとって付加価値の高い交配を 実施する必要があり、従来からまき牛生産方式 を主流としてきた公共牧場では、優良牛生産の ための優良精液を用いた人工授精（AI)、優良 受精卵を用いた胚移植（ET)による繁殖管理体 制へと転換する必要があると考えられる。しか し、このような技術を導入するには、毎日の発 情発見、集畜'捕獲作業といった多大な労力が 必要となるので、管理者の少ない公共牧場では そのような繁殖管理体制の導入は非常に困難で あるとされてきた。そのため、放牧牛のより省力 的な繁殖管理方法の確立が望まれている。