畜産物により媒介される人獣共通感染症(3)ーサヅレモネラ感染症一

摘要

(社)畜産技術協会は平成21年度の食品安全委 員会事業「食品により媒介される感染症等に関する文献調査」を請け負い、調査を実施した。 今月号では、食中毒菌として重要なサルモネラ の感染症について、その概要を紹介する。サルモネラはグラム陰性通性嫌気性捍菌で、 腸内細菌科のサルモネラ属に属する細菌であ り、主にヒトゃ動物の消化管に生息する。ヒト に対して病原性を持つサルモネラ属の細菌は、 三類感染症に指定されている腸チフスやパラチフスを起こすもの（チフス菌Salmonella Typhi とパラチフス菌Salmonella ParatyphiA)と、 感染型食中毒を起こす非チフス型サルモネラに 大別される。本稿で取り上げる食中毒原因菌の salmonella Enteritidis (5.Ententiais;およu、 salmonella Typhimurium (S. lyphimunum) は非チフス型サルモネラ属菌の一血清型で、 S. Enteritidisは1980年代後半から主に欧米に おいて、鶏卵関連食品を原因とする食中毒事 件の急増により注目されるようになった。また、 S. Typhimuriumは1988年までヒトのサルモネ ラ症から分離される血清型の1位を占めていた菌で、牛、馬、豚、鶏などの家畜、家禽の感 染症の起因菌としても重要である。