シバ型半自然草地における 植物種数の簡易調査法

摘要

我が国の半自然草地（野草地）は放牧や刈 り取りといった人為管理により維持されてきた が、その面積は農業の機械化や飼料輸入量の 増加などを要因として長期的に減少している。 それに伴い、秋の七草として知られるフジバカ マゃキキヨウなどの草原的環境に適応して生育する身近な植物も絶滅の危機にひhしている。 一方、農林水産省は農業の多面的機能を向上 させる事業に積極的に取り組むことを表明し ている。半自然草地は、生物多様性保全に加 え、文化の伝承、保健休養、および地域社会 の維持活性化など、まさに多面的な機能を有 しており、積極的に保全策を講ずるべき対象でめる。半自然草地の保全推進策として、生物多様 性をはぐくむ環境（あるいは農法）に対する直 接支払制度（以下：環境支払い）の導入が挙げ られる。ドイツなどいくつかの国では、草地に おける植物種数を測度とした環境支払いの基 準がすでに確立されており、実際に制度が運 用されている。一方、我が国での環境支払い の導入はまだ先のことであろうが、これを想定するとき、現場の農家や普及指導員および一 般市民が調査に参加できるような簡易な調査 法について検討しておく必要がある。