ASFの侵入リスク評価に関する 疫学研究

摘要

アフリカ豚熱（以下ASF)は、ASFウィルス I (ASFV)によって引き起こされる豚やイノシ シの感染症である。極めて伝播力が高く、ダニ や感染動物との直接的または間接的接触によ り感染する。発症すると発熱や全身性のチア ノ一ゼを呈し致死率が高い。有効なワクチンや 治療法は存在せず、国内で発生した場合には 養豚産業に甚大な被害をもたらすため、家畜 伝染病予防法に基づき家畜伝染病に指定さ れている。ASFは2006年まで主にアフリカで発 生が確認されていたが、2007年コ一カサス諸 国に侵入後、ロシアを経て2018年中国で初め て確認され、2019年にはアジア諸国に拡がつ た。このような状況の中、日本は現在ASFの清 I浄国である力、ASFの侵入リスクがかってなく 高い状態にある。ASFの侵入を許せば日本の 養豚産業が受ける打撃は計り知れない。よつ て、ASFの主な侵入経路を特定した上で、侵 入リスク評価をし、どのようなリスク低減措置が 効果的であるかを検証することは有益である。