わが国の馬の生産と利用をめぐる最近の動向：IV．地域での馬の利活用への取組み

摘要

第二次世界大戦に至る前の日中との紛争までは、馬が戦力として重要な位置づけがされていた。当時は、わが国開聞以来、最大の飼養頭数を擁しており、役場には馬籍簿があり、軍馬の待機要員として、調教，訓練が施され、農馬として飼われていた。 戦争が終わり、食糧難の時代までは、有畜農業として牛馬は農家には必須の家族で、耕起、運搬作業に、その糞尿までも農地に還元されて、多大の貢献をして来た。 1960年代に入ると農業用トラクターの導入が始まり、農家から牛や馬は逐われ、酪農肉牛など多頭飼育化が進むにつれて、馬は農村にも見かけられなくなった。 馬は競馬産業の発展で、サラブレッドが生産の中心となり、一部の高校や大学で馬術乗馬が飼われるに止まっている。 在来馬に至っては、保存会の努力で保護されているに過ぎない。