戦後畜産の展開過程（3）高度経済成長下の農業政策2

摘要

高度経済成長下の畜産の展開②（1960年～1975年）（3）基本法農政下の畜産施策農業基本法は、需要が増加する農産物の生産の増進、需要が減少する農産物の生産の転換という、選択的拡大の方針を掲げた。畜産物については、需要が大幅に増加するものと見込まれ、いわば「選択的拡大のチャンピオン」として畜産の拡大が期待されたのである。 戦後の畜産物需要の増大は、先に述べたように家畜飼養農家の増加、すなわち畜産の外延的拡大をもたらしたが、家畜飼養農家1戸当たりの飼養頭数は少なく、昭和35年のそれは、乳牛2.0頭、肉用牛1.2頭、豚2月頭、採卵鶏12羽であり、いわば副業的家畜飼養という状況であった（表1および表2参照）。 このため、畜産物の価格変動による家畜飼養頭数の増減が著しく、畜産部門の規模拡大による経営の改善、生産コスト引き下げが求められたのである。