千葉県内1醅農家で実施している牛白血病清淨化対策と現状

摘要

牛白血病は、リンパ系組織に由来するとみ なされる細胞が腫瘍性に増殖し、全身に悪性 の腫瘍（リンノ、。肉腫）をもたらす疾病である。 いまのところ有効な予防治療法がなく、ひとた び症状を発した病牛は遅かれ早かれ致死的経 過をとる。この病気は現在、疫学事項や発病年齢あるいは病変の分布などから、地方病性 に多発し、体表リンパ節および体腔内リンパ節の腫大などの異常を示す地方病性(Enzootic bovine leucosis ： EBL ：成牛型)と、散発性 の散発型に分類されている。散発型は発症年 齢とリンパ腫の発生臓器の違いから子牛型、 胸腺型、皮膚型に分類されるが、その発生原 因は不明である。地方病性牛白血病は、牛白 血病ウィルス（BLV)の感染により引き起こ される腫瘍で、家畜伝染病予防法に基づく届 出伝染病に指定されている疾病である。牛白 血病の対策については、発生地域での定期検 査、吸血昆虫の駆除、抗体陽性牛の分離飼育、 生産子牛の隔離、陽性牛の初乳の子牛への給 与中止、抗体陽性牛の早期摘発、淘汰等が有 効とされているが、現実には必ずしも実施さ れているとは言えない。EU加盟国では、国家 レベルの組織的な清浄化を行ない、デンマー クでは1991年、イギリスでは1999年、スウェー デンでは2001年に清浄化を達成している[1]。