農場HACCPに対する養豚獣医師の支援活動-生産者と獣医師が連携し実効あるHACCPシステム構築を実現-

摘要

養豚業界が飼料の高騰と豚肉価格の低迷で厳しい状況にある中、政府はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加を検討している。豚肉が完全自由化すれば養豚業界が大きな痛手を被ることは火を見るよりも明らかである。豚肉は牛肉より21年も早く輸入が自由化されている。政府は自由化によって輸入量が急激に増え国内豚肉相場が急落ることで農家経営が悪化しないように、「畜産物の価格安定等に関する法律」に基づく差額 関税制度によつて一定価格を保つてきた。日本養豚開案獣医師協会(JASV)は、日本養豚の存続のために養豚獣医療がより浸透し、獣医師が継続的に養豚産業の一員、生産 者のパートナーとして活動ができるよう、より強固な基盤づくりに向けた課題の洗い出しとその解決に向け、4つの委員会を2年前に創設し活動を始めた。その活動の一つに農場HACCP委員会の取り組みがある。本稿では JASVの委員会活動を簡単に紹介するととも に、JASV農場HACCP委員会の取り組みを説明する。