放牧年商として評価高る「日本短角種の歴史的背景」－品種特性を生かして荷駄を担う－

摘要

標高900mを超える旧早坂峠を、雨上がりの風が吹き抜けてゆく。 いつしか風に揺れる葉音は、白樺が混在する広葉樹の林を鳴らし、哀愁を帯びた南部牛追い唄が聞こえるような気がした。早坂峠は、岩手県北上山地のほぼ中央部に位置し、現在は国道455号線（盛岡一岩泉）が通り、峠の頂点には、早坂峠の標識を兼ねた、南部牛追唄発祥の地として「牛迫の道」の立派な石碑が立っている。 ここは、唄に歌われた「南部牛」の地である。 　 南部牛追唄と同じように唄われた歌に、「南部牛方節」がある。 牛追唄は、子牛を山から下す時や、セリ市に連れて行く時に唄われ、牛方節は、物資を輸送する牛方が唄ったといわれている。