ブロイラーの禁止廃棄率改善のための状況分析および対策（8）

摘要

ブロイラー鶏舎では，床面に石灰を散布または石灰乳を塗布することが，かなり，一般的に行われている。 石灰の殺菌力については古くから知られていることであり，効果の持続性や価格の低廉なこともあり，優れた消毒方法と言えよう。 しかし，石灰自体の殺菌力は長持ちするとしても，塗布された石灰表面が無菌に維持されるものではない（図Ⅳ--2--10）。 、これは木板に石灰を塗布して，2週間ほど豚舎に放置しておき，その表面の菌数を調べたものである。 石灰を塗布しなかった板と全く変わらない菌数が付着していた。なぜ，そういうことになるのか。たしかに，石灰は殺菌力を持っており，そこに触れた細菌は殺すが，石灰の表面にも舎内の塵挨が付着する。 魔境中の細菌や塵挨の上にいる細菌には，石灰の殺菌力は及ばないからである。前述の「直接接触の原則」の図を思い出していただきたい。したがって，石灰を塗布してあるから鶏舎が清潔に維持されると期待しても無駄である。 石灰粉末を散布してある鶏舎の床面からサルモネラが検出された実例もある。