元気の出る畜産をめざして

摘要

家畜繁殖の研究を通して，いろいろな畜産技術の発達を見てきたが，実際にそれを使って頂く農家戸数の減少が厳しい状況になっている。 肉用牛農家も平成15年には10万戸を割り，毎年4％強ずつ減少し，すでに8万5千戸である。酪農家は毎年4％強の減少で，2万7千戸になっている。養豚も8千戸以下になった。畜産技術の開発現場には多くの都道府県の技術者が関係している。 飼育頭数の減少は大きくなくても，技術を導入して使用して頂く農家の方々が大きく数を減らし，高齢化し，新技術の利用場面が小さくなっては，技術開発する人々の元気もなくなる。畜産の研究現場では，受精卵移植技術が開発，普及していった時のような熱気は感じられなくなっているが，研究開発は大変重要なものと思っている。新しい技術の導入は，今ある畜産農家の収益向上に直ちには結びつかないかもしれないが，新技術を積極的に取り入れ，経営を進める農家の方々も多い。 繁殖関係の技術をうまく取り入れて経営を進めている例を紹介し，技術開発に当たっている人たちを含めて，元気の出る畜産の話題としたい。