東京大学農学部畜産学講座創立115周年記念（9） －日本畜産発展の渦中に歩hだ50年－

摘要

昭和29年に農学部畜産学科を卒業して農林省に入省し，退官後は幾つかの畜産関係団体に職を奉じて今年で54年になる。 私が体験した畜産、獣医職の技術公務員（以下畜産技官と略す）の生活は，入省後間もなく始まった高度経済成長の真っ只中にあって，農業、畜産を含めた日本の産業経済構造が激変し，畜産技官の対応も従来のそれと大きく変貌を余儀なくされた渦中にあって大変振幅の激しいものであった。本稿では，日本畜産の発展ぶりに翻弄されながら，その行政的舵取りの一端を担い，退官後は畜産関係団体で行政支援に当たってきた畜産技官OBの生き様を紹介する中で，とくに農水省の行政展開の節目節目で畜産技官がそのソシアルステータスの向上問題などに如何に対処してきたかを中心に述べてみたいと思う。