泌乳ステージ乳量選抜指数による305日乳量と泌乳曲線への選抜反応

摘要

わが国の初産検定日乳量に基づく泌乳曲線に変量回帰係数をあてはめ，その遺伝分散および共分散をギッブスサンプリング法により求めた。遺伝率は分娩後150～200日で高い傾向（0．3）を示し，それ以降305日までも0．28～0．29と高い値を維持した。 一方，5～60日の泌乳初期乳量は0．25以下の遺伝率を示した。選抜尺度は，305日乳量，「泌乳ステージ乳量による選抜指数」，「280日乳量-（マイナス）60日乳量」，「280日乳量／60日乳量」，「61～280日乳量／5～60日乳量」である。 泌乳ステージ乳量による選抜指数は，泌乳中後期乳量の増加，泌乳前期乳量を現状と同じあるいは減少ということが改良目標である場合の最適な選抜尺度である。 305日乳量による選抜は，305日乳量改良量は最も大きかったが，泌乳持続性（ピーク乳量からの乳量低下が少なく，「280日乳量-（マイナス）60日乳量」の値が大きい牛ほど泌乳持続性が高い年）改良量は最も小さかった。 「280日乳量－60日乳量」による選抜は，泌乳持続性改良量は，最も大きいが305日乳量改良量は最も小さかった。 「280日乳量／60日乳量」と「61～280日乳量／5～60日乳量」による選抜反応は，305日乳量と泌乳持続性改良量の両方を増加させ，305日乳量と泌乳持続性の両改良への選択枝の一つであった。