硝酸性窒素等に関わる暫定排水基準改定

摘要

窒素（N)は生体にとって不可欠な元素であり，と りわけ，良質のタンパク質食品を生産する畜産業に おいては重要な元素である。窒素は環境中を循環し 図1に示すように動植物，有機物，アンモ-ゥムィ オン（NH_4~+)，亜硝酸イオン（NO_2~-)，硝酸イオン (NO_2~-、),窒素ガス（N_2),—酸化二窒素ガス（N_2O)等 多様に変化する。ここで取り上げる硝酸ィオン（硝 酸塩）は，酸化が進hだ最終生成物の無機塩であり， 植物（農作物）にとつては重要な栄養塩（肥料成分） である。しかし，一方では湖沼や閉鎖性水域の富栄 養化，また地下水の硝酸塩汚染等環境に与える影響 も大きく ,高濃度の硝酸性窒素を含む井戸水を 飲用した新生児の健康被害が報告されている。 畜産排水については，アンモニア、アンモニゥム化 合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物（アンモニア性 窒素X0. 4 +亜硝酸性窒素+硝酸性窒素の合量で， 以下，硝酸性窒素等と呼ぶ）の暫定基準の改定時期が2013年（平成25年）7月に迫っており，この4月10 日に開催された環境省中央環境審議会水環境部会 において，暫定基準の改定案が報告された4>。ここ では硝酸性窒素等を取り巻く情勢について概説したい。