中洞式山地酪農，技術編1

摘要

山地酪農とは戦後間もなく植物学者猶原恭爾博士 によって提唱された，シバ型草地による山地放牧酪農である。猶原博士は国土の約7割を占める山地地帯が 低生産のまま放置されている現状を憂い，その活用 を牛の放牧によって試みたのである。自身の研究テーマである「草」を如何にして国家 国民に役立てることが出来るかを真摯に研究して， 最も有効な活用はゥシを介在させ耕作不適地な山地 を優良な食糧生産の場にする事であった。猶原博士 の普及活動は全国に及び，北は岩手県から南は宮崎県 まで相当数の山地酪農家の育成に尽力した。「カネ が絡むと全うな研究は出来なくなる」との信念から, 無報酬で全国を行脚して指導に当たつた稀有な学者 であった。現在の国からの研究費を当てにしている お抱え学者や，企業団体の利益誘導の走狗となって いる学者とは雲泥の差がある。