冬季における二酸化炭素とアンモニアガス濃度に もとづいた労働環境としての採卵鶏舎の衛生評価について

摘要

我々は，鶏卵生産を行っているトンネル換気型 無窓鶏舎ならびに開放鶏舎において，冬季の二酸化炭素（以下，C02と表記）とアンモニア（以下，NH3 と表記）の濃度を測定している21)。この報告では， 構造の異なる採卵鶏舎において，床面におけるCO_2 ならびにNH_3ガスの分布について検討している。 このとき，想定に反して，トンネル換気型無窓鶏舎 の2階の床面におけるCO_2濃度は，1階のそれより も高くなる傾向が認められた。また，冬季の開放 鶏舎では，夜間に保温の目的で換気用のカーテンを 閉め切るので，朝の管理作業時に鶏舎内に入ると， NH3ガスによると思われる強い刺激臭や目の痛み が感じられた。このように，冬季の採卵鶏舎では 極端に換気量が低下し，C02やNH3ガスの濃度が 高まるため，鶏舎内で管理作業に従事する人たちの 健康状態が懸念された3' 23)。 C02が鶏舎の管理作業 者の健康に及ぼす影響を調べた報告は見あたらな いが，NH3ガスによる呼吸器疾患や喘息などは， 一般人に比べて管理作業者に発生頻度が高いこと が報告されているし。