家畜飼養管理の実践（4)—豚の飼育管理体脂肪組成と妊娠豚の管理一

摘要

飼料原料は植物資源が多く，含まれる脂質は食用油として利用するサラダ油，大豆油，ゴマ 油などいずれも液状で牛脂やラードのような固形ではない。このような脂肪の性状の違いは脂 肪を構成する脂肪酸の性質を反映しており，安定性の低い不飽和脂肪酸を多く含む脂質は融点 が低く，液状である。一方，安定した飽和脂肪酸が多くなると融点が高まり，固形状になる。 植物主体飼料の摂取は，ブタの体脂肪（ラード）の不飽和脂肪酸割合を高め，柔らかい脂肪(軟脂）を 作り出す。この代表的な飼料原料が，配合飼料に多く含まれるトウモロコシゃマイ口（グレイン ソルガム）である。わが国では，飼料用のトウモロコシには黄色い粒を好むので，3-カロテン などの色素も一緒に供給し，これら脂溶性色素が体脂肪に移行すると脂肪の色味が黄色っぽくなり， 食肉としての見た目が低く評価されるようになる。一般的に肥育後期の飼料では脂肪を白く， 硬くしたいので，これらの利用割合が低く抑えられるようになる。