特集；住血吸虫の中間宿主は？ 特に日本住血吸虫症のミヤイリガイ他第64回日本衛生動物学会シンポジゥム（市民公開シンポジゥム) 信州大学繊維学部講堂：2012年3月31日（土）

摘要

住血吸虫は血液の中に寄生する寄生虫で，世界には何種類か知られている.日本には日本住血吸虫が，人だけでな く動物にも寄生する人獣共通寄生虫どして昔から存在している.人に寄生する住血吸虫どしては，日本住血吸虫が最 も病害が激しい.日本では広島県の福山巿，神辺町，片山付近，佐賀県ど福岡県にまたがる筑後川流域，山梨県ど静 岡県に流れる釜無川流域，関東平野の荒川流域に存在し，さらには千葉県小櫃川流域にも発見された.1847年，片山地方の開業医であった藤井好直は，漢文でこの病気の症状なビを正確に記述して「片山記」を残して いる.これは医学文書どして古く，世界的に貴重である.古来，流行地では人々が感染して重い病気に苦しhできた 里謡にその苦しみが残されている.当初，原因がわかちず医師は治療に為す術もなぐ苦慮した.-感染の原因が解明さ れたのは，およそ100年少し前の1904年になって，病理学者の岡山医専の桂田冨士郎教授ど京都帝国大学の藤浪鑑教 授が，寄生虫である住血吸虫を激しい研究競争の結果，ほどhビ同時に発見した.桂田教授がドイツ語で論文を執筆 し学名が決定された.