焼酎蒸留残液によるジャガイモ種ィモ浸漬処理が 共存細菌群集およびそうか病菌に対する拮抗細菌に及ぼす影響

摘要

ジャガイモそうか病は，土壌伝染に加え罹病種ィモからの 伝染も問題となっている。焼酎蒸留残液は，浸潰した罹病種 ィモ表皮上のそうか病菌密度を減少させ，種ィモ伝染を抑制 するとの報告があるが,その詳細な機構は明らかとなってい ない。焼酎蒸留残液は有機物を豊富に含有する液体肥料で， 種ィモ表皮に共存する細菌群集構造に影響すると予想され る。本研究では次世代シークェンス解析を用いて，焼酎蒸留 残液浸漬処理が種ィモ表皮とストロンに共存する細菌の群集 構造に及ぼす影響を調査した。浸潰処理により種ィモ表皮お よびストロンで存在比が最も増加した細菌属は.いずれもBacillus属であった。種ィモ表皮に共存するBacillus属の中で 存在比が大きい種はBacillus aryabhattaiの近縁種と推察され， 種ィモ表皮から分離したそうか病菌に対する拮抗細菌と16S rRNA遺伝子配列が一致した。さらに，この拮抗細菌の存在 比は浸漬処理により種ィモとストロンで共通して増加した。 以上から.焼酎蒸留残液浸漬処理による種ィモ表皮に共存す る拮抗細菌B. aryabhattaiの存在比の増加ならびにストロン への伝播が，そうか病の種ィモ伝染の抑制に関与することが 示唆された。